2005年7月6日水曜日

なぞなぞ「百歳以上の老人の人口比率は日米どちらが高い?」



今朝の日経経済教室で一橋大学教授の井伊雅子氏。もちろん「健康的な」伝統食を食べている日本だと答えた人は間違いでした。

井伊氏によると:
  1. 日本の百歳以上の人口は約23000人(2004年10月)
  2. 米国では約60000人(2004年7月)
  3. 米国の人口は日本の人口の約2.3倍。
  4. よって米国の方が長寿者の比率が高い。

とのこと。

井伊氏は高齢者医療改革の議論では「データに基づく議論が不可欠だ」と言うことをおっしゃるために一例としてこの数字を引いておられるのだが、医療面ばかりではなく日本ではこの種の思いこみに基づく議論が多すぎるように思われる。「和食=伝統食=健康食」という思いこみもこの類の議論だ。

今現在われわれが「和食」だと思って食べているものは、日本の伝統食なぞではない。天ぷらにしても牛鍋(すき焼き)にしても全部外国から來たもの。カレーライスも然り。戦後日本人の栄養失調問題の改善のためにGHQがやたらフライ(揚げ物)を推奨したのも(フライが一番簡単なカロリーアップ方法だった)いわゆる「日本の伝統食」をややこしくした。遡っては日本陸軍の兵隊食がある。陸軍でもやたらカロリーが重視された。そのためには材料が整わないときには、手っ取り早く砂糖を大量にぶち込んでカロリー計算の辻褄を合わせたと、さる主計士官から自分の体験として聞いたことがある。カレーライスが海軍から日本全土に広がったように、日本食がやたら甘辛くなったのもこのへんに理由があるのかもしれない。背景としてそれ以前の「伝統食」では兵隊を戦わせるだけのエネルギーが確保できなかったことがある。もちろんカロリーアップだけを考えたこの種の「改善」も健康食なんぞではない。

またぞろヘンな思いこみによる一律的な「食育」がなされるのであれば、困ったことである。


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